沈没予備校

恥の多い生涯を送ってきました

散歩

祖母の法事があるので広島に帰省している。昼前には到着する予定であったが、寝坊のため12時間ほど遅れて午後10時に着いたので親戚一同を呆れさせた。アスペである。

 

 

 

家族には昼はカフェ、夜は居酒屋でバイトしているという真面目がドレス着てサンバを踊っているような大学生の設定で通していたのに、前回帰省した際にバイト先の夜感満載ライターを忘れて帰るという失態を犯してしまい絶望していたのですが、そういえばそのライターのその後はどうなったんだろうと思って家の中を探していたら仏壇の前に線香に火を付ける用として置かれているのを発見して現在絶望のワルツを踊っている次第であります。これから私は親戚にどのような顔をしてカプチーノの話をすれば良いのだろうか。

 

 

 

そんなこともあって昨晩は寝ようとしても全く寝付けなかった。まあ鼾の五月蝿い父、耳の周りを周回する蚊、20分に1回奇声を発する祖父のせいだと思う。普段パチンコ屋で寝ながらCRF戦姫絶唱シンフォギアを打っている私(レバブルで起きる)が寝れなかったので相当なものだ。私の家族全員ゴジラかなんかなんだと思う。

 

 

 

怪獣達が騒がしくて寝付けないのでなんとなくその辺を散歩することにした、早朝6時のことだ。丁度朝凪の時間なのか外は無風であり、田舎なので人一人歩いておらず、時間の止まった空間に放り込まれたみたいで涼宮ハルヒの閉鎖空間なんかを彷彿としながら無敵を感じていた。恐らくもう少し私に失うものが無ければ全裸でその辺を走り回って翌日の朝刊にお騒がせ大学生などと書かれていたに違いない。

 


適当に歩いていたら海が見えた。台風が近づいているらしいのにそんな前兆はまるで無くて瀬戸の海は穏やかで美しかった。通常時の凱旋みたいに。

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周りにはありえん早朝なのに話しかけたらボロの釣竿とかくれそうなオッサンとかポケモンバトルを挑まれてもコイキングを6匹持ってるだけっぽい釣り人とかで溢れかえっていた。釣りに関心の無い私からしたらぶっちゃけこいつらこの時間から何やってんだと思う。趣味を持つ人間、無敵が過ぎるぞ。

 

 

 

人間というものはボーッとしている時間とかがあれば要らぬことを考える生き物のようで、海の前でボケーっとつったってFXで全財産を溶かしたような顔をしている私の体内にある不安の種が芽生え始める。

 

 

 

お先真っ暗大学三回生私の不安といえば目下院試やら就活やらと決まっていた。周りの大学生達はなにかコソコソしているように見えるが、特になにかしたい訳でもない私の院試対策といえばTOEICの受験料払うだけ払って寝ブッチしたとか、就活に関してはなんかのアプリで無料配信されていた島耕作(就活編)を読んだとかそんな程度で正に人生終了ドラゴンである。マジで謎の会社に就職→三ヶ月くらいで上司と喧嘩して退社→起業をするも失敗→終活くらいの未来が見える。

 

 

 

釣り人達を乗せたフェリーが目の前を爆音の汽笛を鳴らして出港し、目的地を持つ彼らと何も考えていない私との間には大き過ぎる海を隔てて隔離された。フェリーはどんどん進んで行き、そして水平線の彼方に消えて行く。

 

 

 

 


帰り道、ツバメが低く飛んでいた。